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2006-01-16

亡霊のダンス

例えばある晴れた冬の日、風に流された雲が太陽を覆ってあたりが一瞬だけ暗くなったことを私はよく覚えているのだけど、それを体験したのがこの「私」である事実があの世界を破壊してしまう。私は汚い。自分には幻想を当てはめられない。だからそれ以上先へ進もうという気も失せてしまう。架空の人物に体験を託したならもっと先へ行けるんじゃないかと思う、のだ。

晴れた日曜、電車に揺られて

小説というのは誰かに読んでもらわないと存在する意味がない(だから自己満足での創作などもってのほかである)、つまらない小説は誰も読まない、私はつまらない小説しか書けない、したがって私は小説を書かない。今までこのように考えていたのだけど、純粋に創作を楽しんでいる友達を見て、そんなこともないかなと思えてきた。

別に、読者がいなくたって構わないんだよなあ。物語を想像する間を、書いている一瞬一瞬を自分が楽しむために創作したって全然悪くはないんだった。面白いものを書いて人に褒めてもらおうなんて考えてるから駄目だったんだ。

とりあえず今は、自分の中で溜まりに溜まって淀んでしまった風景を吐き出したい。頭の中の世界はどこまでも続くけど代わり映えしなくてちょっと飽きた。見たことないものを見てみたい。

ここはひとつ、電車に乗って知らない駅まで揺られてみるくらいの気分で。